No.03 恋、故意 糸、意図
共同生活というものは『習慣』や『常識』と呼ばれるモチーフをいくつもつなぎ合わせた、いわばパッチワークのようなものだ。日々のパッチワークは続いてゆく。ほつれかけた糸があれば、その都度かがってやらなくてはならない。今回もまた、ひとつちぎれかけた…
文章A小説1
No.02 デート
何かがおかしい。確かにそう思うのに、何がどうおかしいのかが分からない。仕事のあるなしに関わらず、いつだって体調は万全だ。ごくまれに、力を振るった高揚がなかなか静まらないことや、また気分良く飲みすぎてしまった翌日、酒が残っていると感じることも…
文章A小説1
No.01 xyz
「いらっしゃいませ、モクマさん」モクマは一瞬、戻る部屋を間違えたと思った。「えっ……え~、どしたん? これ」「今宵の晩酌は、いつもと趣向を変えてみようかと」ここは、とあるラグジュアリーホテルの最上階に位置するスイートルームだ。シックな間接照…
文章A小説1